地震が発生した瞬間、震源からは主に2種類の地震波が同時に放射されます。最初に伝わるのが「P波(Primary wave:初期微動)」、後から伝わるのが大きな破壊力を持つ「S波(Secondary wave:主要動)」です。この2つの波が地中を伝播する速度の違いこそが、緊急地震速報の仕組みの根幹を成しています。
地盤の硬さによって変動するものの、P波は秒速約7kmという猛スピードで進むのに対し、被害をもたらすS波は秒速約4kmと比較的ゆっくり進みます。つまり、震源から離れるほど「P波が届いてからS波が届くまでの時間差」が広がります。気象庁のシステムは、震源近くに設置された地震計がP波を捉えた瞬間、わずか数秒で震源の位置・深さ・マグニチュードを自動解析し、S波が各地へ到達する時刻と予想される震度を即座に割り出します。
日本全国には陸上に約1,700カ所の気象庁および防災科学技術研究所の地震観測点が網の目のように張り巡らされているほか、太平洋沿岸には「S-net(日本海溝海底地震津波観測網)」や「DONET(地震・津波観測監視システム)」といった海底光ケーブルネットワークが敷設されています。震源が海底であっても陸上に揺れが届く前に検知できる体制が確立されており、電気信号(光の速度=秒速約30万km)でデータを伝送することで、音波や揺れを遥かに凌駕する速度での情報伝達を可能にしています。