作品の核となるのは、ヒロインの喜多川海夢と主人公の五条新菜の距離感だ。天真爛漫に見えて内面に繊細な恋心を秘める海夢と、自身の技術に誇りを持ちつつも自己評価の低さに苛まれてきた新菜。ふたりの関係は、単なる「衣装を作る側」と「着る側」のビジネスライクな協力関係にとどまらない。
物語の進展に伴い、海夢の抱く恋愛感情はより深く、より切実なものへと変化を遂げた。一方の新菜もまた、海夢という圧倒的な存在をモデルにすることで、職人としての自我と個人的な感情の狭間で激しく揺れ動く。言葉にできない想いが交差する視線の交わし合いや、沈黙の間の描写は、読者の胸を強く締め付ける。