バブルの余韻がうっすらと残る1995年。法政大学を卒業したばかりの堀井美香は、TBSの門を叩いた。同期入社組の中でも、彼女の落ち着いた声質と確かなアナウンス技術は群を抜いていた。しかし、当時の女子アナブームの渦中で、求められる「タレント性」と自身の「職人としてのプライド」との間で、人知れず心が揺れていたという。
テレビ画面で見せる屈託のない笑顔とは裏腹に、深夜のニュースデスクで原稿を読み上げる彼女の表情には、プロとしての厳しい覚悟が滲んでいた。この時期の徹底的な基礎体力の構築が、後の彼女の声を支える背骨となったのは間違いない。