「硬くて噛み切れない」という悩みの原因の9割は、表面を覆う白っぽい薄膜(銀皮)と、内部に通る頑丈な筋にある。ここを丁寧に処理するだけで、口当たりは劇的に滑らかになる。
包丁の刃先を薄膜と肉の間にそっと滑り込ませ、包丁の背を少し傾けながら膜を剥ぎ取るように引いていく。これが「筋引き」と呼ばれる技法だ。完全に膜を取り除くのが難しい場合は、肉の繊維に対して垂直に、数ミリ間隔で細かく切れ目(格子の切れ込み)を入れるだけでも十分な効果が得られる。筋を切ることで熱を加えた際の肉の縮みを防ぎ、噛み切りの良い柔らかな食感が生まれる。