日本エンターテインメント界において、これほど重厚な映画の血を受け継ぐ俳優は他に類を見ません。寛一郎の父は、日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を総なめにしてきた佐藤浩市。そしてその父、すなわち寛一郎の祖父にあたるのが、圧倒的な怪演と徹底した役作りで映画史にその名を刻んだ三國連太郎です。
かつて三國連太郎と佐藤浩市の間には、長年にわたる確執と、それを映画という共通言語を通じて乗り越えていった濃密なドラマが存在しました。映画『人間の約束』や『美味しんぼ』での親子共演は、当時の映画ファンに強い衝撃を与えたものです。その確執と融和の歴史を見つめながら育ったのが寛一郎でした。
祖父・三國連太郎が2013年に他界した際、寛一郎はまだ10代半ばでした。幼い頃から祖父の映画撮影現場や試写会に接し、スクリーン越しに巨大な表現者の背中を見つめ続けた原体験が、彼の俳優としてのアイデンティティに深い影響を与えています。