今日、私たちが庭園や公園で目にするネモフィラの多くは、学名をネモフィラ・メンジーシー(Nemophila menziesii)という。この魅力的な植物を採集し、学界に広く知らしめる上で決定的な役割を果たしたのが、19世紀初頭に北米大陸の荒野を精力的に探索した英出身の植物学者トマス・ナトール(Thomas Nuttall)である。
トマス・ナトールはカリフォルニア沿岸部やミズーリ川流域の先住民族が暮らす地域を歩き回り、未知のプラントハンティングに生涯を捧げた。彼が持ち帰った標本と観察記録によって、ラテン語で「小さな森(Nemos)」と「愛する(Philos)」を組み合わせた「ネモフィラ」の名が定着した。日陰の森の境界線に密やかに咲く野生種を見出した彼の情熱がなければ、現代の景観美芸にこれほど大きな足跡を残すことはなかっただろう。