物語のクライマックスにおいて、読者に強い衝撃を与えたのが神谷の破滅と予期せぬラストシーンです。徳永のコンビ「スパークス」は、10年間の活動の末に芽が出ず、解散という苦渋の決断を下します。相方は堅実な生活へ戻り、徳永もまた不動産会社の営業マンとして社会人の一歩を踏み出します。
一方の神谷は、借金を重ねて自己破産し、忽然と姿を消します。1年後、徳永の前に再び現れた神谷の姿は、読者の予想を遥かに超えるものでした。神谷は「面白くなりたい」「インパクトを残したい」という常軌を逸した思いから、なんと巨乳化(豊胸手術)して現れたのです。
一見すると狂気やギャグのように映るこの結末ですが、文学的考察においては極めて深い意味を持っています。神谷はどれほど無残に現実に打ちのめされても、世間の常識に屈することなく、命懸けで「笑い」にしがみつき続けていました。徳永はその姿を見て、呆れ果てながらも神谷という存在への畏敬の念を再燃させます。
ラストに綴られる「生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ、途中にいる」というメッセージは、夢破れた者、何者にもなれなかったすべての人々に対する、力強く温かな魂の肯定として読者の胸に深く刻まれています。