長年にわたり「骨を丈夫にするためには牛乳を毎日飲もう」と教えられてきましたが、近年「牛乳を多く飲む国ほど骨折率が高い(カルシウム・パラドックス)」という言説がネットや書籍で拡散し、疑問を抱く人が増えています。
結論から整理すると、「牛乳が骨粗鬆症を悪化させる」という極端な説は科学的に誤解を含む誇張です。牛乳は吸収効率の高い良質なカルシウムとタンパク質を豊富に含んでおり、適量の摂取が骨密度の維持に寄与すること自体は多数の大規模疫学研究で実証されています。
ただし、牛乳さえ飲んでいれば骨粗鬆症が防げるというのもまた幻想です。骨の形成にはカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンD(日光浴や魚類から摂取)や、骨への定着を促すビタミンK(納豆や緑黄色野菜から摂取)、そして骨に適度な負荷をかける運動習慣が不可欠です。牛乳をガブ飲みしても、運動不足やビタミンD欠乏があれば骨は強くなりません。何事も単一の食品に依存せず、トータルの栄養バランスで見極める姿勢が求められます。