公式サービス終了によって不要になったダッシュボタンですが、ガジェット好きや開発者コミュニティでは全く別のカルチャーとして熱狂を生み出しました。500円という破格で手に入るWi-Fi通信端末として、ハッキングのターゲットとなったのです。
当時広く知られたのが、Raspberry Pi(ラズパイ)を用いた改造ハックでした。ダッシュボタンが押された際にネットワーク上に流れる「ARPリクエスト」や「DHCPパケット」をラズパイ側で検知(スニッフィング)し、それをトリガーにして自由なプログラムを実行させる手法です。
これにより、Amazonへの注文を通さずに次のような用途へ転用する自作例が相次ぎました。
・自宅のスマート照明を一括で消灯するスイッチ
・赤ちゃんの授乳時間やオムツ交換を記録するタイムスタンプボタン
・SlackやLINEへ「今から帰る」と自動送信する通知ボタン
・Webフック経由でスマート家電を操作するリモコン
なお、一般向けダッシュボタンとは別に、開発者向けにAWS Lambdaを直接起動できる「AWS IoT Button」も公式提供されていました。こちらは最初からプログラミング前提で設計されたデバイスでしたが、一般用ボタンの圧倒的な安さと手軽さゆえに、ラズパイと組み合わせた草の根のハッキングが世界的な盛り上がりを見せました。