インターネット上の掲示板やSNSでは、この複雑な論争が極端に単純化され、誤った認識が拡散されるケースが散見されます。報道各社や専門誌の取材データをもとに、代表的な誤解の真相を検証します。
第一の誤解は、「ショルツ教授によって望月理論が完全に論破・否定された」という言説です。実際には、ショルツ氏側が指摘した論点は「簡約操作における同一視の扱い」に関するものであり、望月教授側はその指摘自体が理論の前提条件を無視した誤読であると反論しています。双方が自らの主張を文書化して公表したものの、互いに納得する統一見解には至っておらず、「未決着の論争」というのが学術的な正確な状況です。
第二の誤解は、「京大数理解析研究所の雑誌に載ったため、内輪による身内贔屓の審査だったのではないか」という批判です。『PRIMS』は欧州数学会(EMS)から出版されている権威ある査読誌であり、望月教授自身は編集委員長を務めていたものの、当該論文の査読プロセスからは完全に排除されて特別編集委員会が組織されました。国内外の複数名の専門家による厳格な査読プロセスを経て掲載されたことが公式に発表されています。