猫の耳が驚くほど柔軟に動く理由は、その精巧な身体構造にある。人間の耳には数個の筋肉しか存在しないが、猫の耳には片耳だけで32個もの耳介筋が密集している。この筋肉の束が緻密に連動することで、左右の耳を180度近く独立して回転させることが可能になるのだ。
近年の動物行動学および獣医学のアプローチでは、この筋肉の収縮パターンと脳内の感情処理との関連性が深く分析されている。単なる集音器としての役割にとどまらず、微小な筋緊張の変化が感情のパラメーターとして機能していることが明らかになってきた。全身の中でも最も素直に「いまの気持ち」を可視化する部位といえる。