デビュー曲「大都会」がリリースされた当時の衝撃は、日本の音楽界の固定観念を根底から打ち破るものだった。田中昌之の突き抜けるハイトーンボイスと、吉崎勝正の泥臭く力強い低音ボーカル。この対極に位置するふたつの声質が交差した時、ポピュラー音楽に全く新しい立体感が生まれた。
単なる掛け合いではない。2つの声が互いの周波数帯を極限まで押し広げ、聴く者に「声の建築物」のような圧倒的スケールを感じさせた。現代の音響解析技術で見ても、田中の高音域における倍音成分の豊かさと安定性は異次元の領域に達しており、レコーディング技術が未発達だった当時において、いかに突飛で奇跡的なボーカルユニットであったかが改めて浮き彫りになっている。