「娘の無念を思えば、どれほどの月日が流れても心に空いた穴が塞がることはない」。遺族が長年にわたり訴え続けてきた痛切な叫びは、加害者の保護を優先しがちであった当時の法的体系への根本的な異議申し立てであった。事件当時、凶悪な犯罪を犯した10代の加害者であっても、実名報道が制限され、刑罰の上限も極めて限定的であった。
惨劇を契機として巻き起こった国民的な議論は、やがて少年法改正への巨大なうねりへと発展した。厳罰化を求める世論と、厳格な手続保障を重んじる法学界との激しい摩擦。2000年代以降、少年法の対象年齢の見直しや特定少年制度の創設など、法制度は段階的な改訂を重ねてきた。しかし、ネット社会の進展に伴い被害者とその遺族への二次被害やプライバシーの暴かれ方がより苛烈さを増す中で、「被害者の尊厳」をいかに法的に担保するかという課題は、いまなお未解決のまま残り続けている。