この歴史的プロジェクトを企画・撮影したのは、日本写真界の巨匠・篠山紀信だ。当時、さまざまな女性たちの「美」と「覚悟」を切り取ってきた彼が目をつけたのが、清純派イメージからの変貌を模索していた杉田かおるの圧倒的な潜在能力だった。
出版元となった集英社の編集部内でも、企画立案当初は慎重な議論が重ねられたという。しかし、スタジオに現れた彼女の眼光は真剣そのものだった。篠山紀信のカメラの前で、彼女は迷いを捨てた。光と影が交錯する中で切り取られた肉体美は、猥雑さを一切排除した洗練されたアート作品そのもの。完成した写真集『姿』は、刊行と同時に書店の棚から姿を消すほどの空前の大ヒットを記録した。そこには、レンズを介した巨匠と女優による真剣勝負の爪痕が濃密に刻まれていたのである。