本作を語る上で避けて通れないのが、当時まだ若手劇作家だった三谷幸喜による脚本の妙だ。本来、コメディを得意とする三谷が挑んだ本格シリアス医療ドラマ。そこには、単純な勧善懲悪では割り切れない「人間のエゴ」が冷徹に描かれていた。
正義のはずの石川が時に独善的に見え、悪のはずの司馬が誰よりも患者の現実を見つめている。この「善悪の逆転現象」を、当時の若いキャストたちが見事に体現した。現場での演出や役作りのアプローチを巡り、キャストと制作陣の間で激しい議論が交わされたという逸話も残っている。その妥協なきぶつかり合いこそが、画面越しに伝わるあのヒリヒリとした熱量の正体だったのだろう。