料理におけるアクは、食材から溶け出してスープの品質を落とす「不要な成分の総称」です。食材の種類によってその正体は大きく2つに分かれます。
肉や魚といった動物性食材から出るアクの主成分は、血液や変性した水溶性たんぱく質、酸化した脂質です。これらが熱によって凝固し、スープの表面に泡や茶色い浮遊物として浮かび上がってきます。一方、植物性食材から出るアクは、ポリフェノール類やシュウ酸、アルカロイド、タンニンといった苦味やえぐみ、渋味を持つ有機化合物が中心です。
ここで疑問になるのが「旨味とアクの違い」です。昆布のグルタミン酸や肉のイノシン酸といったアミノ酸・核酸系の旨味成分は完全にスープに溶け込んでいます。対して、アクとして浮いてくるたんぱく質は結合が崩れた不要物であり、旨味そのものではありません。ただし、アクをすくう際にスープや浮遊する良質な脂まで大量に捨ててしまうと、結果として料理全体のコクや深みが損なわれる原因になります。