見た目が似ていることは、単なる雑学の枠を超えて現場の行政コストを直撃している。各自治体の環境課には毎日のように「危険な外来種がいるから駆除してほしい」という電話が寄せられるが、現地に向かうと保護対象である在来のタヌキだった、というケースが後を絶たない。
アライグマは特定外来生物に指定されているため、捕獲や防除の手続きが法律で定められている。一方でタヌキは鳥獣保護管理法の対象だ。間違えて処理することは法的にも許されないため、職員は現場へ急行し、双眼鏡と足跡の型取りで慎重な同定作業を余儀なくされる。
「通報者の焦る気持ちも分かります。夜中に家の庭で鉢合わせしたら、誰だってパニックになりますから。でも、落ち着いて写真の尾っぽを見てもらえると助かるのですが…」と、ある区役所の担当者は本音を漏らす。