日本には古くから、他者に対して自分の家族を少し下げて話す「謙遜」の文化が存在した。「うちの子なんてブサイクで」「全然大したことなくて」といった表現は、円滑な人間関係を保つための社交辞令として長年使われてきた歴史がある。
だが、自我が芽生え始めた子どもにとって、大人の「気遣い」や「謙遜」は理解できない。親が他人に発した言葉をそのまま受け止め、「自分は醜いんだ」「お父さんやお母さんは自分の容姿を恥ずかしがっている」と解釈してしまうケースが後を絶たない。小児心理の現場では、幼少期に親から受けた容姿に関する言葉が、思春期以降の重度の摂食障害や自己肯定感の著しい低下へと繋がる事例が相次いで報告されている。