しかし、このノスタルジックな風景の裏には、現代ならではの課題も横たわっている。近年の大阪市内における不動産開発の波は激しさを増しており、新世界周辺も例外ではない。老朽化した建物の維持費、後継者不足、そして部品調達の難航。昭和の娯楽文化をいかに未来へ繋ぐかという議論が深まっている。
地域経済に詳しい文化人類学者は次のように指摘する。「スマートボールは単なる遊技場ではなく、近代大阪の下町カルチャーが凝縮された『生きている文化財』です。すべてを最新の商業施設に塗り替えてしまえば、新世界が持つ本来の磁力は失われてしまうでしょう」。
地元商店街の有志たちは今、行政や文化団体と連携し、スマートボールを含む歴史的遊技場の景観保全に向けたガイドラインづくりに乗り出している。古いものをただ壊すのではなく、街のアイデンティティとして価値を再定義する試みが始まっている。