海外における『風の谷のナウシカ』の評価を語る上で欠かせないのが、2000年代以降に制作されたディズニーによる英語吹き替え版だ。海外版でクシャナ役を務めたのは、アカデミー賞女優のアリソン・ジャニーである。
ジャニーの演技もまた見事であり、ハリウッド的な王者の貫禄を見せつけている。しかし、両者を聴き比べると面白い違いが浮かび上がる。ジャニーが「外に向けた強力な権力」を前線に出すのに対し、榊原の演技にはどこか「内面に抱えた冷ややかな傷」を感じさせる陰影がある。日本の伝統的な静寂の美学と、榊原の持ち味である凛とした静けさが、海外ファンにとっても唯一無二の魅力として語り継がれている理由だ。