混同されやすい「懐石料理」と「会席料理」だが、起源と目的はまったく異なる。懐石料理はもともと茶の湯の席で、本格的なお茶(濃茶)を味わう前に胃をなだめるための簡素な食事から発達したものだ。そのため「飯と汁」が最初に出され、酒はその後に少量嗜む程度という構成が基本となる。
一方で会席料理は、酒席を愉しむための宴会料理が起源だ。前菜から始まり、刺身、焼き物、揚げ物と酒の肴になる料理が順番に運ばれ、最後の締めに御飯と味噌汁が登場する。2026年現在のレストランシーンではこの両者の境界線が柔軟になりつつあるが、根底にある「茶道に由来する簡素な美学」か「宴の華やかさ」かを意識するだけで、立ち振る舞いに自ずと一本の筋が通る。