行政側も手をこまねいていたわけではない。新宿区の吉住健一区長は、公園周囲のフェンス設置や防犯カメラの大量投入、夜間の閉鎖時間の前倒しなど、ハード面での治安対策を矢継ぎ早に打ち出してきた。新宿区役所が目指すのは、歌舞伎町北エリアを「誰もが安心して歩ける街」へと再定義することだ。
一方で、歌舞伎町の案内人として長年街を見つめ続けてきた作家・活動家の李小牧氏は、ハード面の規制だけでは根本解決にならないと指摘する。「場所を奪えば、問題は別の暗がりに移動するだけだ」という彼の言葉は、現場を知る者ならではの重みを持つ。行政による秩序形成と、歓楽街が持つ自律的な生態系との間で、終わりのない対話と模索が続いている。