日本を代表する名優・役所広司が見せた圧巻の演技は、幕末の英雄・河井継之助の生き様を力強く現代に蘇らせた。単なる武闘派のリーダーではなく、スイスのような中立国を目指した開明的な思想家。その知性と苦悩を劇中で際立たせたのが、日本の伝統的な和菓子文化との対比である。
武士としての厳しい佇まいを見せる一方で、市井の味に目を細める人間味。役所広司の繊細な表情の変化が、河井継之助という歴史上の人物に豊かな血肉を通わせた。甘味を嗜む静かな時間が、やがて訪れる悲劇的な運命とのコントラストを鮮烈に描き出し、観る者の涙を誘う。