この二つの違いは、トラブルが発生した際の影響の現れ方にもはっきりと現れる。
「遺伝子の変異」は、いわばスペルミスだ。設計図の文字が1文字だけ書き換わってしまった状態を指す。これにより、作られるタンパク質の形が少し変わり、病気の原因になることがある。しかし、他の多くの遺伝子は正常に機能しているため、局所的な影響にとどまることが多い。
対して「染色体の異常」は、本の落丁や乱丁に近い。染色体の数が1本多かったり(トリソミー)、一部が欠けていたりすると、そこに書き込まれていた数千もの遺伝子が一挙に影響を受ける。そのため、身体的・機能的に広範囲にわたる変化が生じやすくなるのが特徴だ。