味わいの違いを生み出す最大の要因は、生地づくりのロジックにある。第一の決定的な違いは「卵」の使い方だ。マドレーヌは全卵を使用し、卵黄の持つコクと白身の水分を丸ごと生地に抱き込ませる。これに対して、フィナンシェは卵白のみを使用するのが絶対的なルールとなっている。
さらに熱い情熱が注がれるのが「バター」と「粉」の配合である。フィナンシェには、贅沢な「焦がしバター(ブール・ノワゼット)」とたっぷりの「アーモンドプードル(アーモンドパウダー)」が欠かせない。バターがきつね色になるまで直火で加熱し、ナッツのような芳醇な香気成分を引き出してから生地に混ぜ込むのだ。マドレーヌにもバターは使われるが、基本的には溶かしバターであり、レモンピールやヴァニラで爽やかな香りを添えるのが王道とされている。