道具の使い方も出来栄えを大きく左右する。手動のホイッパーではなくハンドミキサーを使用する場合、速度スイッチの切り替えとボウルに対する角度が仕上がりのクオリティを決める。スタート時は高速で一気に空気を巻き込み、空気のポケットを大量に作ることが先決だ。
しかし、ツノが立ち始めてからの「低速仕上げ」を怠ってはならない。高速のまま立て続けると、気泡の大きさが不揃いになり、焼成時に粗い空洞ができてしまう。最後の1分間、ハンドミキサーを低速(または弱)に設定し、ボウルの中心で羽を動かさずに固定して滑らかに回すことで、大きな気泡が砕かれ、ミクロ単位の均一な気泡組織へと再編される。
この「キメを整える作業」を経たメレンゲは、光を規則的に反射するため、まるで真珠のような美しい光沢を放つ。触れた感触もシルクのようにしっとりとし、型崩れしない強靭な骨格を持つようになるのだ。