主演を務める役所広司の存在感は、今作でも群を抜いている。彼が演じるのは、老獪さと凄みを併せ持つ『宝来屋』の主・宝来屋右衛門。内部スタッフの証言によれば、役所は役に没入するあまり、リハーサル段階から共演者を圧倒する鬼気迫る演技を見せていたという。殺気すら感じるその佇まいに、撮影現場の空気は常に静まり返っていた。
監督を務める坂本浩一の采配も冴え渡る。特撮やアクションの第一線で培った疾走感溢れるカメラワークと、人間ドラマの深い彫り込みが見事に融合。坂本監督は「従来の時代劇の文脈を良い意味で裏切りたい。ダイナミックかつ心理戦の緊張感を極限まで高めた」と周囲に語っており、二人の化学反応がどのような化学変化を画面上にもたらすのか、期待は膨らむばかりだ。