1980年代初頭、沢田研二は自らのバックバンドとしてEXOTICS(エキゾティクス)を結成し、従来の歌謡曲の枠組みを完全に突破したニューウェイブ/ロックサウンドを展開していました。吉田建(ベース)、柴山和彦(ギター)、上野義美(ドラム)、安田尚哉(ギター)、西平彰(キーボード)という当代随一のミュージシャンを従え、音楽的実験を繰り返していた時期です。
その只中である1982年9月21日にリリースされた通算17枚目のオリジナルアルバムが『A WONDERFUL TIME』でした。このアルバムのB面1曲目に配置されたのが、長渕剛が書き下ろした『ジャストフィット』です。
当時、長渕剛はフォークシンガーとしての枠を飛び出し、自身のロックアイデンティティを模索していた激動期にありました。当時の音楽関係者の回顧録や制作現場の記録によると、渡辺プロダクション制作陣の「既存の歌謡作家にとどまらない、新進気鋭のエッジの立ったソングライターを起用する」という果敢なプロデュース方針により、この異例のオファーが実現したとされています。
美と退廃を纏うジュリーに対し、情念と骨太なリアリズムを叩きつける長渕剛。当時のメディアでも「意外すぎる組み合わせ」として話題を呼びましたが、完成した楽曲は両者の強烈な個性が奇跡的な調和を果たした、極めて洗練されたビートロックへと結実しました。