「後付けやECU書き換えでミスファイアリングシステムを作動させた場合、車検に通るのか?」という問題について、現場の整備工場や検査基準の観点から検証します。
結論から申し上げますと、「本格的なミスファイアリングシステムを常時作動させた状態での公道走行および車検適合は極めて困難」です。これには保安基準上、主に3つの重大なハードルが存在します。
1. 排出ガス基準の超過と触媒(キャタライザー)の溶解
ミスファイアリングシステムは意図的に未燃焼ガスを排気管に送り込むため、通常走行時と比較してCO(一酸化炭素)およびHC(炭化水素)の排出濃度が跳ね上がります。さらに深刻なのが排気熱です。エキマニ内での爆発によって生じる1,000℃近い高熱は、排気経路にある三元触媒のハニカム担体を瞬く間に溶損・破損させます。触媒が機能しなくなれば、当然ながら車検の排ガス検査(アイドリングテスト)をパスすることは不可能です。
2. 近接排気騒音規制および破裂音規制
道路運送車両の保安基準では、加速走行騒音および近接排気騒音に対して厳格なデシベル(dB)制限が設けられています。ミスファイアリング作動時の「パン!パン!」という破裂音は110dB〜120dB(飛行機のプロペラ音並み)に達することもあり、明確な保安基準不適合(不正改造)となります。
3. 熱害による車両火災のリスク
エンジンルーム内の温度が想定外に上昇するため、周辺のゴムホース類、ハーネス、ブレーキ配管などが熱害によって劣化・発火する事故が報告されています。ディーラーや認証整備工場では、アンチラグが有効化された車両の入庫を拒否するのが通例となっています。