当時の視聴者が今なお強烈な印象として覚えているのは、竹内力が醸し出していた繊細な「影」と「品格」だ。彼が演じた沢村尚人は、浅野温子演じるヒロイン・矢吹薫の亡き婚約者・真壁芳之の実弟という、物語の感情線を揺さぶる極めて重要なポジションだった。
亡き兄の面影をどこかに宿しながら、ヒロインに密かな思いと敬愛を寄せ、ヴァイオリンの製作・修復職人を目指して一途に努力を重ねる青年。劇中で見せた優しい微笑みや、葛藤に揺れる瞳の演技は、のちのアクションや極道映画でのコワモテな役柄とは180度異なるものだった。このギャップこそが、時を経た現代のエンタメシーンにおいても人々を惹きつけてやまない最大の魅力と言えるだろう。