自己免疫疾患の診断を受けてからの市原さんの毎日は、病気との苛烈な戦いの連続だった。入院治療による投薬と壮絶なリハビリ。手足の痺れや筋力の低下により、かつてのように自由に歩くことすら困難な状態に追い込まれた。
しかし、彼女の魂が折れることは一度たりともなかった。病院のベッドの上でも発声練習を怠らず、関係者に対しては「早く現場に戻りたい」「声の仕事なら車椅子でもできるでしょう?」と意欲を燃やし続けたという。
2018年には、病床から朗読の録音に臨むなど、命の灯火が消えかける直前までマイクの前に立つことを諦めなかった。痛みに顔を歪めながらも、本番の合図がかかった瞬間に目つきが変わり、一瞬にしてプロの顔に戻る。付き添っていたスタッフや医療関係者は、その凄まじい執念と演技への愛に言葉を失ったという。病に倒れてもなお、彼女の心は常にスポットライトの当たるステージ上にあったのだ。