日本のチョコレート市場は、この10年で劇的に変化した。カカオポリフェノールの健康効果を謳った「効果系チョコ」の定着や、豆の産地にこだわる「ビーントゥバー(Bean to Bar)」といったクラフトチョコレートの流行だ。
これにより、日本人の舌は「カカオ本来の苦味、酸味、香り」を楽しむ方向へとシフトした。砂糖とミルクが主役の欧州風ミルクチョコレートに対し、「ただ甘いだけでカカオの風味が感じられない」と物足りなさを抱く層が増えたのは必然と言える。舌が肥えた現代の消費者にとって、リンツのクラフト感の薄い「工業的な甘さ」は、もはやプレミアムとは感じられなくなっているのかもしれない。