ソロアーティストとしての谷村新司さんの代表曲は、いずれも日本人の心象風景に深く寄り添う名作ばかりです。その中でも1980年に発表された『昴 -すばる-』は、谷村さんの音楽人生を象徴する金字塔となりました。
『昴』の誕生について、谷村さんは生前「プレアデス星団(すばる)からのメッセージを受け取るように、引っ張られるようにして一気に歌詞とメロディが降りてきた」と語っています。一切の妥協を排して紡がれた壮大な人生讃歌は、日本国内にとどまらず、中国をはじめとするアジア全土で爆発的な支持を獲得。中国では教科書や音楽教材に採用されるほどの社会現象となり、谷村さんは日中文化交流の架け橋として上海音楽学院の教授を務めるなど、音楽外交の第一人者としても大きな足跡を残しました。
また、1978年に山口百恵さんへ提供した『いい日旅立ち』は、国鉄(現・JR)の大型観光キャンペーンソングとして制作された不朽の名作です。日本の原風景と旅情、別れと再出発の情景を美しい日本語で描き出し、提供曲でありながら谷村さん自身によるセルフカバーも含め、今なお旅のアンセムとして愛され続けています。
さらに、加山雄三さんとの共作で1992年に誕生した『サライ』は、日本テレビ系『24時間テレビ』のテーマソングとして国民的な定着を見せました。全国の視聴者から寄せられたメッセージを谷村さんが紡ぎ直し、加山さんがメロディをつけたこの楽曲は、夏の終わりの風物詩として今も多くの人々の心を温めています。