歴史の教科書やネットの議論でしばしば批判の的となるこの発言だが、実際の文脈は少し異なる。池田が国会で答弁したのは、「所得の少ない方は麦、所得の多い方は米を食うというような、経済の原則に則したやり方」という趣旨だった。配給制から自由経済への移行期において、市場原理を説明しようとした発言が、メディアによってセンセーショナルに切り取られたのが真相だ。
だが、言葉は独り歩きする。戦後復興期の日本において、「米を食べること」は豊かさの象徴であり、人権そのものでもあった。それを「経済原則」で片付けようとした池田の姿勢が、当時の国民感情を逆撫したのは無理もない。そしてこの構図は、2026年の現代社会にも驚くほど酷似している。