球速150キロ越えの投手たちがズラリと並ぶ2026年夏の甲子園。スカウトたちのスピードガンが跳ね上がるたび、スタンドからは歓声が漏れる。しかし、今大会で最も打者をきりきり舞いさせているのは、表示パネルに「132キロ」と刻むサイドスローの投手だ。
「上から投げ下ろす球は見慣れているが、横から浮き上がってくるような軌道にはまったく対応できない」。敗れ去った強豪校主将の言葉が、すべてを物語っていた。右打者の外角へ逃げるスライダーと、胸元へ鋭く食い込むシュート。球速差わずか5キロの2種類を同じフォームから投げ分けられた時、高校生バッターのバットはことごとく空を切る。