これほど大規模な国家級ランドマークであるにもかかわらず、東京スカイツリーの建設費には国や東京都の税金が一切投入されていません。費用の全額を負担したのは、事業主体である東武鉄道とそのグループ会社です。
2000年代初頭、在京テレビ6社は地上デジタル放送への完全移行に伴い、超高層ビル群の電波遮蔽を回避できる600メートル級の新タワーを求めていました。複数の候補地が名乗りを上げる中、東武鉄道は保有していた墨田区押上の広大な旧貨物操車場跡地を活用するプランを提案し、最終事業者に選定されました。
プロジェクトを推進するため、東武鉄道は100%子会社である「東武タワースカイツリー株式会社」を設立。東武鉄道からの出資とメガバンク各行からのシンジケートローン(協調融資)を組み合わせ、完全な民間資金のみで650億円を調達しました。公的資金に依存せず、民間企業の経営判断として巨大投資を決断した背景には、自社沿線の活性化とグループ全体の収益基盤を強化するという長期的な経営戦略がありました。