この特異な血縁関係の核となったのが、2人の実父である山本兼男(かねお)氏です。兼男氏は非常に腕の良い洋服の仕立職人(テーラー)であり、同時に情熱的で破天荒な人生を歩んだ人物として知られています。
兼男氏は生涯で複数回の結婚と離婚を経験しており、最初の妻との間に生まれた長男が山本寛斎氏でした。その後、兼男氏が50代後半から60歳近くになって授かった息子が伊勢谷友介です。つまり、父の青年期と晩年の子供という関係が、32歳という大きな年齢差を生み出しました。
伊勢谷友介は幼少期に両親が離婚したため母子家庭で育ち、父親と暮らした記憶は多くありません。しかし、父が持っていた「服を一から仕立て上げる職人気質のクリエイティビティ」や「枠にとらわれないエネルギー」は、間違いなく寛斎氏と伊勢谷友介の双方に色濃く遺伝していました。育った環境は違えど、天性のデザイン感覚や自己表現への探究心が同じ血筋から開花した事実は、血縁の持つ不思議な力を物語っています。