少女漫画の歴史を語る上で外せないのが、甘さと切なさが絶妙に交錯する学園ラブコメディの存在だ。十代の繊細な自尊心や友情、将来への不安と恋心が織りなす空間は、読者に強烈なノスタルジーと共感をもたらす。このジャンルが磨き上げてきた演出手法は、現代のエンタメ業界全体の基盤を作ったと言っても過言ではない。
一方で、リアルな人間のドロドロとした感情や夢と現身の狭間を描き、爆発的なムーブメントを起こした『NANA』のような金字塔も根強い支持を誇る。矢沢あいが紡いだ音楽、ファッション、そして痛切なまでの人間模様は、単なるコミックの枠を超えたカルチャーアイコンとして君臨し続けている。甘い恋を描く作品と、苦い現実を描く作品。この二極の対比こそが、読者を沼らせる最大の醍醐味と言えるだろう。