映画『いま、会いにゆきます』で主演を務めた竹内結子と中村獅童の圧倒的な演技は、観客の心に深い爪痕を残した。雨の季節だけに現れるという幻想的なヒロイン像と、不器用ながらも一途に家族を愛する夫の姿。二人が作り出した切なくも温かい空気感は、主題歌「花」のメロディラインと奇跡的な化学反応を起こしたと言える。
スクリーンのエンドロールでこの曲の前奏が流れ出した瞬間、映画館のあちこちからすすり泣く声が漏れ聞こえたという当時のエピソードは、今や語り草だ。映画の映像体験と楽曲のサウンドスケープが見事に融合したことで、楽曲そのものが単体の音楽作品を超えた「物語体験」へと昇華された。映像と音楽が互いの魅力を引き出し合った、まさに邦楽史に残るコラボレーションの最高到達点である。