阿部慎之助といえば、現役時代は巨人の絶対的司令塔として君臨し、現在は監督としてチームを牽引する闘将だ。常に厳しい勝負の世界に身を置く彼が、家庭で見せるのは一人の「父親」としての顔である。娘がスケートを始めた幼少期、多忙を極める遠征の合間を縫っては、リンクへ足を運んでいたというエピソードは有名だ。
二人の間には、ある約束があった。「やるからには、途中で投げ出さないこと」。言葉数は少なくても、背中で勝負師の生き様を示してきた父の教えは、娘の心に深く刻まれている。リンクサイドで見守る父の眼差しは、東京ドームで見せる鋭い視線とは異なり、どこか温かく、そして誇らしげだ。