シリーズを語るうえで避けて通れないのが、綾里真宵の並外れた「事件引き寄せ体質」です。彼女は物語の中で幾度となく殺人容疑をかけられ、身柄を拘束されてきました。
最初の悲劇は、成歩堂との出会いとなった『逆転裁判』第2話「逆転姉妹」です。実の姉であり、成歩堂の師匠でもあった弁護士・綾里千尋の殺害容疑で逮捕されたことがすべての始まりでした。現場に残された血文字のダイイングメッセージによって絶体絶命の危機に陥るも、成歩堂の執念の弁護によって無罪を勝ち取り、以後は成歩堂法律事務所の副所長(助手)として行動を共にします。
しかし、試練はこれで終わりません。『逆転裁判2』では、故郷の倉院の里で行われた降霊儀式の最中に起きた医師殺害事件で再び逮捕。さらに同作のクライマックスでは、殺し屋・虎狼死家左々右エ門に誘拐され、成歩堂に「有罪判決を勝ち取れ」という過酷な脅迫の引き金として命を脅かされる事態に直面しました。
さらに年月を経た『逆転裁判6』でも、修行先のクライン王国にて国家を揺るがす重大事件の容疑者として捕縛されるなど、まさに波乱万丈そのもの。彼女が何度も逮捕される根本的な理由は、倉院流霊媒道の継承争いにまつわる陰謀や、霊媒という常識外の能力が引き起こす不可解な密室状況に巻き込まれやすいためです。無実でありながら常に窮地に立たされ、それを成歩堂が法廷で覆す構図は、シリーズを象徴するドラマとなっています。