野崎守というキャラクターを語る上で、演出を手掛けた福澤克雄監督の構想と、それを体現した阿部寛の卓越した演技巧は切り離せない。阿部寛といえば、これまでも数々の個性的で記憶に残る名役を演じてきたが、野崎役で見せた長身を生かしたダイナミックなアクションと、腹の底を見せない深い芝居はまさに圧巻だった。
公安警察という表舞台には出ないダークヒーロー的な存在を、単なる冷血漢として描くのではなく、生身の人間として呼吸させた点が素晴らしい。モンゴルでの長期間に及ぶ大規模ロケにおいても、砂漠の過酷な環境の中で際立つ眼力と重厚な声の表現力は、作品全体のスケール感を一段上のレベルへと引き上げていた。