なぜ、映画界の重鎮である北大路欣也さんが「犬の声」を担当することになったのか。その起用理由には、クリエイティブディレクターの緻密な演出プランがありました。
当時、ソフトバンクのCM企画チームが目指したのは「誰も見たことがない家族のカタチ」でした。母が樋口可南子さん、娘が上戸彩さん、兄がダンテ・カーヴァーさんという国際色豊かな配役に加え、一家の長を「言葉を話す北海道犬」にするという奇抜なアイデアが採用されたのです。
企画チームが求めたのは、単に面白いセリフを言う声ではなく、「どんな理不尽な状況でも一家の主として威厳を保ち続ける、昭和の頑固親父の声」でした。可愛らしい犬の見た目と、低く響く威厳ある美声との間に生じる「究極のギャップ」を生み出せる存在として、北大路欣也さんに白羽の矢が立ちました。
オファーを受けた当初、北大路さんは「まさか自分が犬の役をやるとは」と驚きつつも、企画の面白さと先進性に惹かれ、快諾したというエピソードが残されています。