奈良の高校野球を語る上で、智弁学園の存在を外すことはできない。「赤」と「紫」、対極のライバル関係は互いを高め合う永遠の砥石だ。近年、互いに全国制覇の経験を持つ両校の対戦は、もはや地方大会の領域を超えた最高峰の頭脳戦と化している。
力で押し込む強打の智弁に対し、天理はいかにしてその主導権を奪うか。前年の公式戦では、互いに手の内を知り尽くした激闘が延長12回タイブレークまでもつれ込んだ。相手の狙い球を外し切る配球、一瞬の隙も見逃さない一塁走者のリード。一球ごとに変わる緊張感に、観客席のファンは固唾をのむ。互いの存在があるからこそ、天理の刃は研ぎ澄まされ続ける。