火災現場の上空には、通常の雲とは一線を画す不気味な巨大積乱雲がそびえ立っている。火災積乱雲(パイロキュームロニンバス)と呼ばれるこの現象は、超高熱の火炎が大気を猛烈な勢いで上昇させることで発生する。自ら強い雷を発生させ、落雷によって数十キロ離れた未燃焼の森林へ新たな火種を落とす。いわば「火災がさらなる火災を生む」悪性の自己増殖システムだ。
現地で取材に応じた気象研究者は語る。「炎が雲を作り、その雲が雷を落として別の場所を燃やす。人間が消防車で散水した程度では微動だにしない。大気が自ら燃え上がっているようなものだ」。衛星画像が捉えた北米大陸の上空は、広大な範囲が濃密な灰色の煙で覆われており、宇宙空間からでもはっきりとその破滅的な規模が確認できる。