現地を訪ねてまず驚かされるのは、大阪市内から1時間あまりという好立地でありながら、手つかずの豊かな自然がそのまま残されている点だ。渓谷沿いを歩くと、苔むした岩肌を滑るように流れる透明度の高い清流が見え、静けさの中に響く水音が日常の疲れを綺麗に洗い流してくれる。
かつて多くの湯治客やハイカーに親しまれてきた犬鳴山いこいの家周辺の雰囲気は、今も変わらぬ温もりを保っている。地元で長年暮らす男性は、「ここは四季折々の顔がある。春の新緑や秋の紅葉はもちろん、冬の静寂の中で入る湯は格別だよ」と笑顔で語ってくれた。喧騒を離れ、ただじっくりと自分自身と向き合う時間がここには流れている。