今クールの視聴動向を語る上で欠かせないのが、リアルタイムの世帯視聴率を牽引したTBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』と、見逃し配信サービスで驚異的なトラフィックを記録したフジテレビ月9『海のはじまり』の鮮やかな対比です。
ビデオリサーチの調査データによると、『ブラックペアン シーズン2』は初回世帯視聴率12.0%で好発進を飾り、全話を通じて二桁を維持。前作の主人公・渡海征司郎とは瓜二つの別人である天才心臓外科医・天城雪彦という大胆な設定を、二宮和也が見事な説得力で演じ切りました。クラシック音楽に乗せて行われる「ダイレクト・アナストモーシス」の公開手術シーンは、日曜劇場ならではのケレン味と緊迫感に満ち、中高年層を含むリアルタイム視聴層をテレビの前に釘付けにしました。
対照的に、若年層およびコア層を中心に爆発的な支持を集めたのが『海のはじまり』です。TVerにおけるお気に入り登録者数は195万人を突破し、各話の再生数ランキングでも常に首位を独走しました。脚本を手掛けた生方美久、プロデュースの村瀬健、演出の風間太樹という『silent』制作陣が再集結し、back numberによる書き下ろし主題歌「新しい恋人達に」が物語の切なさを極限まで増幅させました。
「自分が知らない間に、自分の子どもが生まれて育っていた」という重層的なシチュエーションを通じ、登場人物それぞれの立場から語られる痛烈な本音は、毎話放送後にSNS上で激しい議論を巻き起こしました。単なる泣けるドラマに留まらず、妊娠・中絶・育児という生命の選択に向き合う姿勢が、熱狂的な視聴体験を生み出したのです。