渡辺さんの逝去後、最も深い悲しみの中に置かれたのが妻の原日出子さんでした。1994年の結婚以来、芸能界を代表する理想のパートナーとして30年近くを共に歩んできた原さんは、あまりのショックから一時は言葉を失い、憔悴しきった状態にありました。
しかし、原さんは自らの苦しみと向き合いながら、メディアや特番インタビュー、自著の手記を通じて、当時の状況と渡辺さんの本当の姿を語り始めました。
「夫は本当に優しく、真面目で、家族思いの人でした。自律神経のバランスを崩し、眠れなくなってからの夫は、見ていて本当に可哀想なほど苦しんでいました。もっと何かできなかったのかと自分を責める日々でしたが、あれは病気が夫を連れ去ってしまったのだと、少しずつ受け止めようとしています」
(原日出子さんの公式コメントおよび手記より要約)
原日出子さんを精神的に支えたのは、俳優やアーティストとして活動する長男の渡辺貴裕さんをはじめとする子どもたちの存在でした。家族全員で悲しみを分かち合い、手を取り合うことで、原さんは一歩ずつ前を向く力を取り戻していきました。
原さんは女優としての活動を本格的に再開し、ドラマや舞台、映画で円熟味のある演技を披露しています。公の場で見せる穏やかな表情の中には、亡き夫への変わらぬ愛情と、同じように自死遺族となった人々や更年期・メンタルヘルスに悩む人々へ寄り添う強い意志が宿っています。