催眠状態とは、心理学用語で「トランス状態(変性意識状態)」と呼ばれ、意識が一点に極度に集中し、日常的な批判的思考(クリティカル・ファカルティ)が一時的に弱まった状態を指します。映画に没頭して周囲の物音が耳に入らなくなったり、運転中に考え事をしていて気付けば目的地に到着していたりする現象も、広い意味でのトランス状態の一種です。
メディアで見かけるパフォーマンスに対して根強く囁かれる「やらせ疑惑」ですが、その実態は「完全な演技」ではなく「極めて協調的なトランス状態」であるケースが大半を占めます。催眠術は相手の自由意志を完全に奪ってロボットのように操る技術ではありません。「術者の指示に従ってみたい」「現象を体験してみたい」という被験者の無意識の協力姿勢があって初めて成立します。テレビ番組などでは、事前のテストで極めて反応の良い被験者を入念に選抜しているため、あたかも魔法のように劇的な現象が起きているように見えるのです。