約40年ぶりに刷新された最高額紙幣の顔として、なぜ渋沢栄一が選ばれたのか。その理由は、彼が残した「道徳経済合一説」にある。生涯で約500もの企業の設立に関わり、同時に約600の社会公共事業や教育機関を支援した渋沢は、単なる資本家ではない。「論語と算盤」に代表されるように、倫理と利益の両立を説いた人物だ。
現代の日本は、格差の拡大や地方の衰退、そして持続可能性(SDGs)への対応など、多くの課題に直面している。利益至上主義の資本主義が行き詰まりを見せる中で、渋沢の「公益を優先し、その結果として富を得る」という思想は、まさに今の日本が必要としている羅針盤なのだ。政府が彼を紙幣の顔に据えたのは、単なる歴史的偉人の顕彰ではなく、これからの日本経済が進むべき指針を国民に提示するためだったと言える。